幕末純想恋歌
「葵君」


「あ、近藤さん。何か御用ですか?」


朝食が終わり、後片付けをしていたら声を掛けられ。


「いや、別に用というわけではない。ただ、今日の朝食がとても美味かったからそれを伝えたくてね。」

「そんな…、お口に合ったようで嬉しいです。」

面と向かって褒められるはなんだか照れくさい…。

思わず、目が泳いでしまう。


「いや〜、実に美味かったよ。私は、思いがけず良い拾い物したようだ。これからも頼むよ、葵君。」


近藤の厳つい顔が温かい笑顔を浮かべ、温かい言葉を掛けてくれる。


そんなことが、今は、とても嬉しい。

心が暖かくなった。




安心して…、ここにいてもいいんだ。
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