幕末純想恋歌

お昼過ぎ。

まだ新しい袴を着て道場へ向かう。

道場へ近づくにつれて、威勢のいい声や竹刀がぶつかり合う音が聞こえてくる。

道場の扉の前に立つとたくさんの隊士が稽古をしていて熱気がこもっていた。

正直むさ苦しい…。

が、葵にとっては慣れ親しんだ光景であり、好きな光景でもある。

扉口で軽く礼をして中に入り見回すと、奥の方で指導にあたっている沖田と藤堂を見つけた。


「沖田さ〜ん、藤堂さ〜ん!!」


声を掛けると二人はすぐに気付き、周りの隊士たちも遅れて気付き出す。

そして、道場はしんとなった。


「やっと来たね。待ってたよ。」

「早速試合しようぜ!!待ちくたびれてぜ!!」


二人の楽しそうな声はよく静かな道場によく響いていた。