幕末純想恋歌
第二章

温かい場所。願わくは…

葵がこの時代に来てから一月がたった。

この屯所にも馴染み、毎日女中として働いていた。

しかし、元の時代に帰る手がかりはさっぱり掴めていない。

屯所の人達が親切なのが救いだ。



「ふぅ。こんな感じかな。」

葵は今日も今日とて掃除をしていた。

屯所はとても広い。

午前中は掃除しているのが葵の日課だ。


「ごめんください。どなたかいらっしゃいませんか?」


表の方から声がした。

来客だ。

「はぁ〜い。只今!!」


パタパタと玄関へ懸けていく。


「こんにちは。お待たせしました。…あら?あなたは確か…」


「こんにちは。覚えてくれていたのね。嬉しいわ。お久しぶり、梅です。」
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