幕末純想恋歌
「お梅さん!!お久しぶりです!!どうしたんですか?どなたかに御用でも?」


「えぇ、そうなの。芹澤様に用事があって。いらっしゃるかしら?」


「え…、芹澤さんですか?たぶん…、いらっしゃると思いますけど…。」



芹澤とはあの日以来会っていないが、苦手意識がある。

初対面があのようだと、どうしても会いにくい。


「あら、苦手?」


苦手なのが顔に出ていたようだ。


「あの…、ちょっと…。…少しだけ。どうしても、なんか怖いというか。」


「ふぅ〜ん、ふふっ。へぇ。あんまり会ったことない?」


「はい。まだ、一度しか。」


「なら、もう一度あってみましょ?きっと印象変わると思うわ。」



何か企んでいるような顔でにっこり笑う梅に、葵は思わずうなずいてしまった。



< 106 / 131 >

この作品をシェア

pagetop