幕末純想恋歌
「葵、お前出身は京か?それとも江戸か?話している言葉自体は江戸のようだが、抑揚は京のようだな」


「そう言われればそうねぇ。どこ出身?」



二人の問に葵は一瞬迷った。

未来から来たと言っても良いものかどうかと。

「…京です。生まれも、育ちも。」


ただ、そうとだけ答えた。

別に嘘は言ってない。
事実を言った。

土方や沖田のときは、必要に迫られていた。

今は違う。
そんなことを言ったらどのように思われるか。

優しい二人だからこそ言えなかった。



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