幕末純想恋歌

早朝、芹沢、近藤、沖田、齋藤、永倉、他数名が大阪へ発った。


「何、土産を楽しみに待っとれ」

芹沢が葵の頭を撫でながら笑う。

打ち解けてから芹沢は何かと葵に優しい。

それだけでなく纏う雰囲気も以前と比べてとても柔らかくなっている。


「お気をつけてくださいね。お土産待ってます、皆さんのお土産も大歓迎です」

「あ〜あ、頼まれちゃった。芹沢さんが買うなら僕はいらないかなぁって思ってたのに」

沖田がペロッと舌をだしながら言う。


でも、きっと言わなくても買ってくるつもりだったんだと思う。

顔がすごく楽しそうだから。


「楽しみにしててね」

「はい」



「さあさ、芹沢さんも近藤さんも早く行かねぇと日が暮れちまうぜ」

今まで黙ってた土方が口を挟む。


「おぉ、そうだなトシ。さ、芹沢さん参りましょう」

「近藤さんもお気をつけて」


「あぁ、葵君。行ってくるよ。屯所のことはまかせたぞ、トシ」



「出発!!」



芹沢の号令で皆が大阪へ向かって発っていった。





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