幕末純想恋歌
「放して!!痛いっ!!」

「おら、大人しくこっちこい!!」


まだ放してくれず手もしびれてきた。

強行突破しようかと思った時、


「おまんら、いい加減にせ!!」


声と共に大男が現れ、浪士の腕を捻り上げた。


「いててっ!!何しやがるてめえ!?」

「それはおまんじゃ。おなごをいじめて楽しいんか?」


土佐弁の大男が捻り上げた浪士は圧倒的な力に身動きがとれないでいる。


茫然と眺めていると


「こっちにおいで」


と優しく手を引かれた。


「あ〜、赤くなっちゃってるねぇ。痛むかい?」


手を引いたのは柔和な容貌の男だった。


葵の手首に触れて具合を診ている。

「いえ、そんなに…」

「そんなにってことは多少は痛むんだね。冷やした方がいいね。こっちにおいで。」


また手を引かれ連れてこられたのは茶屋の店先で、座らせられ

「女将、何か冷やすのをくれ。あと団子を二人前。」
「へぇ、ただ今お持ちします」


すぐに持ってこられたおしぼりで手首を冷やしてくれた。

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