幕末純想恋歌
「本当に可愛い子。さ、お連れさん待たせてるし、早く着替えましょ?」

「…あの、わたし着物着れなくて。袴なら着れるんですけど……。」

「あら、そうなの?なら、ちゃんと教えてあげなくちゃね。」

女の人は不思議がったが、不審がったりはせず丁寧に教えてくれた。

なんとか一人でも着れそうだ。

「髪も結いましょ?教えてあげる。」

髪もさっき貰った髪飾りを使ってきれいに結ってくれた。

「髪さらさらね。私はくせっ毛だから羨ましいわ。さ、できた。」

鏡を見るときれいに結い上げられていた。

「髪型は、だんだんいろんな結い方を覚えていけばいいわ。とりあえず、これひとつできれば大丈夫よ。ん~、お化粧もしようかと思ったんだけど…、このままの方がいいわね。これで完成!!可愛いわ、葵ちゃん。さ、連れの人が待ってるわ。行きましょう?」

「はい。ありがとうございました。あの、お名前は……?」

「あ、名乗ってなかった?私はね……。」



「梅よ。」

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