幕末純想恋歌
……よかった。一瞬泣いてしまったかと思った。

忘れかけていたけれど、この子は未来から飛ばされてしまったのだ。

何も分からない場所、時代にに、独り。

怖くないわけがない。

不安でないわけがない。

なのに、泣きもしない。

泣いて、喚いた方が楽かもしれないのに。

強いのだろう。

剣術も、心も。

でも、さっきは一瞬この子がとても小さく、弱い存在に見えた。

……守ってあげたいと思った。

(だれかを、守ってあげたいなんて生まれて初めて持った感情だよ。)
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