幕末純想恋歌
「夕餉までまだ時間がある。それまで部屋で待機してろ。不用意に出歩くな。出払ってたのが帰ってきたからな。下手に見られると騒ぎになる。」

「総司、部屋まで案内しろ。」

「は~い。さっきの部屋でいいですよね?」

「ああ。それと葵、お前は自分のことしっかり自覚しとけ、客観的にな。ほら、行け。」

「?失礼しました。」

葵の頭の中は疑問符だらけだ。

部屋から二人が出てったあと土方はため息を吐く。

「無自覚天然にも程があんだろ。ある意味問題児だな。」

あの少女の容姿を思い出す。

「こりゃ、バカ共が騒ぐだろうな。」

夕餉の騒ぎを想像してまた、ため息を吐いた。 
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