幕末純想恋歌
「落とすなよ?」

「落とさないよ。うわっ、やっぱ軽いなこの子。」

抱えあげた葵はとても軽かった。

「じゃ、おやすみぃ。」

広間から出ると夜風が気持ち良かった。

(今日はいつもより飲んでるな。この調子じゃ朝までいくな。)

そんなことを思いながら部屋の方へゆったりと歩いて行った。

星がとても綺麗だった。


葵の部屋について布団を敷くため葵を降ろそうと思ったらクイッと引っ張られた。

見ると葵が着物をしっかりと握っている。

「…起きて。手、離して?」

トントンと葵の手を叩いた。

「…ん、ん~…。」

「手、離して?布団引けないでしょ………っ!!あ、葵ちゃん!?」

沖田が慌てる。

だって、葵の手が沖田の首にまわりしがみついて…、キュッと抱きついてきたから。

「…どうしたの?」

「…ひとりに…しないで…。…寂しい。」

「葵ちゃん?」

そしてまた寝息をたて始めた。

「…寝言か。」

…さて、どうするか。 
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