幕末純想恋歌
ピタッと動きが止まる。

「いいか、これ以上するなら減俸するぞ。んで、仕事増やすぞ。いいのか?こっちとしてはありがてぇけどな。」


ニヤリと笑顔を浮かべて言う。


「……ケチ、……鬼。」


そっぽむいてボソッと言う。


「あ?何か言ったか?放さないってことはいいんだな。おまえがそんなに仕事熱心だなんて知らなかったぜ。」

「…そんなはずないじゃないですか!まっぴらごめんです、そんなの。」


やれやれ、頭がかたいなぁ、とやっと葵を放した。

すかさず土方の後ろに隠れる。


「…なんで、土方さんの後ろに何か隠れるの?」


「だって、だって…。」


また捕まりそうだからとは言えない。

絶対言えない。      


「ところで。駆けつけてきたのは土方さんだけですか?他は?」

「…爆睡中か二日酔いでうごけねぇ。山南さんは仕事中だがな。」

「アハハッ!相変わらずばかだなぁ!」

笑い出す。

ま、いつもだけどさ、と言いながらまだ笑う。

笑い続ける。
< 85 / 131 >

この作品をシェア

pagetop