幕末純想恋歌
一瞬、時間が止まったように感じた。

疑われてる、そういうわけではないけれど、信用はされてないとひしひしと感じた。


「さて、さっさと朝御飯つくるよ。…どこまで進んだ?」

沖田はいつものニコッて笑顔で話しかけてきた。

止まっていた葵の時が動きだし、張りつめていた空気が緩む。


「…えっ、あ、米は研ぎ終わりました。野菜は、…まだこれからです…。」

「じゃ、米はもう持ってくね。そっちも、ちゃっちゃと終わらせてね〜。」

そう言って、さっさと立ち去っていった。


その後ろ姿はやはり、沖田総司、のものだった。


「…!急がないと、ご飯間に合わない!!」

葵は、ワタワタと野菜を洗い始めた。
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