モンスターハンタールチフェル2nd
「違う違う!
 ここはこっちだ!」



 そんな会話が地図を挟んで飛び交うのを、アレックはただ黙って聞いている。

「ここは何度も足を運んでいる私の意見をだな……!」

「ハンター初心者は黙ってなさいよ~!」

 どうやらいつになっても出発出来そうに無い。

 そうため息をしてうつ向くアレックだった。

 ルチナと百合の論争を眺めているのも飽きたので、とりあえず2人は気がすむまで喋らせとくことにして、アレックは砥石を片手に愛用のカブレライトソードの手入れに取り掛かった。

(母さん、元気にしてるかな……?)

 ふとそんなことが頭を過る。



 アレックは小さい時に事件に巻き込まれて記憶を無くした為、両親の顔、両親との思い出、両親の安否すら完全に脳内から綺麗サッパリ消えて無くなってしまったのだ。
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