遠い恋-あの空を見上げた日-
感動の初対面…とは
いかなかったが、
2年を経てようやく
二人は会うことが出来た。
はじめましてなのか
何なのかわからなかったが、
緊張の糸が一気に緩んだ。
翼はどこにでもいる
野球少年だった。

私の家族が近づいてくると
翼は軽く挨拶をした。
父さんは軽くお辞儀をして
一言も話さなかった。
その間を取りもつように
母さんが「どうも」と言って
何回もお辞儀をした。
翼はよほど緊張していたらしく
固まっていた。
「9時にはホテルに
戻ってきなさい」と
一言も話さなかった父さんが
口を開いた。
東京駅で家族と別れ、
翼と二人になった。

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