遠い恋-あの空を見上げた日-
翼の家は最寄り駅から
徒歩5分ほどの
線路沿いにあった。
駅の前にはデパートがあって
その前には公園があった。
少し東へ歩くとすぐに
河川敷があった。
決して都会とは言えないが
何にも苦労しない
街だと思った。

近くの公園のベンチに座ると
辺りがざわついていた。
「今日地元の祭りなんだよ」
と翼が言うと、
ドーンと大きな音と共に
たくさんの色の火花が
空に輝いた。
「花火や」
私がそう言って立ち上がると
翼も私の隣に立ち、
そしてお互い目が合った。
「綺麗やね」と私が言った瞬間、
翼の唇が私の唇に触れた。

今までで一番幸せだと
思えた瞬間だった。
ネットから始まった恋は
思いもしないものだった。

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