遠い恋-あの空を見上げた日-
東京駅に着くと
私の家族が待っていた。
しかし時間はまだあった。
両親がどうしようと
迷っていると、父さんが
「少しお茶でもしよう」
と言った。
翼の顔が曇ったのが
私にはすぐわかった。
しかし私の家族と
仲良くなってもらいたいという
切なる思いがあった。

5人で喫茶店に入ると、
流れで父さんの前に
翼が座ることになった。
翼はとにかく固まっていた。
私はそれを見てなんだか
可哀相だと思ったが、
何故かその状況を
少し楽しんでいる自分がいた。

座るや否や私は
父さんにネクタイを渡した。
「翼が選んでくれてん」と言うと
父さんは照れくさそうに
ありがとうと言った。
私まですごく嬉しくなった。
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