【短編集】涙の流れるその原因に
また今日も藍吏は泣きに来た。
家が隣だし、同い年の俺のところにいつも愚痴を言いに来る。
そうしていつも泣き出す。
もう、俺のベットが特等席になるほどに。
「秋哉を好きになれば良かったのに」
彼氏のヤツが浮気をしたと初めて藍吏が知った日。
藍吏は俺の姉ちゃんの所にきた。
何気なくその部屋の前に通った時姉ちゃんが言った言葉。
きっと姉ちゃんは深い意味も無く、冗談で言ったんだろう。
・・・聞いてしまった俺には鋭い棘。
「あの人じゃなきゃ・・・」
思わず耳を塞いだ。
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