【短編集】涙の流れるその原因に
「別れの曲」
その日、編入生がきた。
「はい、じゃあ席着いて!今日は編入生来る日だぞ!」
がやがやと騒がしくなる教室。
例に漏れず俺もまわりの奴らとその編入生についてあーでもないこーでもないと話していた。
ただひとり、俺の隣の席の女の子はいつも通り静かだったけど。
「じゃあ入れー」
熱血なんだけどそれが空回りする俺らの担任つよしが廊下に向かって呼びかけた。
その声が見事に裏返って編入生は笑いに包まれた中での登場となった。
「宮内雄大です。よろしくお願いします」
入ってきたのは優等生っぽい、メガネをかけた背の高い男。
女じゃねぇのかよ〜…。
「宮内は私立青嵐高校から2週間の体験入学だ。短い間だけど楽しんでいけよ!」
つよしは宮内の背中をバシバシ叩きながら豪快に笑う。
うわ、早々なのにかわいそー。
「じゃあ宮内は月島の前な。ほらあそこの空いてる席」
そう言ってつよしは俺の右斜め前の席を指差した。
その席の人は1ヶ月前に転校してった。
宮内は少し驚いた顔をしてその席に向かった。
……驚いて?
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