【短編集】涙の流れるその原因に








そんな話をしてから3日後の放課後。

珍しく部活の無い日で俺は図書館に行こうと足を進めていた。

その途中の音楽室。

ピアノの音が聞こえたのでそっちを見てみると彼女がピアノに寄りかかって立っていた。









圧倒された。









綻ぶ唇
緩んだ頬
柔らかい瞳

見たことのない月島さんがそこに居た。








ピアノを弾いているのは宮内。

何かを言い合っては笑い、音を口ずさむ。

2人のその音楽室はなんだか俺の立ち入れる場所じゃなくて。

気落ちしながら

胸打ちながら

俺はその場を去った。





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