【短編集】涙の流れるその原因に






隣を歩く皐月から、

「なぁ、俺灯に告るけどいいのか?」

いつもの帰り道でいきなりの発言。

覚悟はしてたけど、聞くとは思わない言葉があった。

「なんで俺に確認すんだよ?いいに決まってんだろ」

笑いながら言うけど、気付きはしないだろうか?

この焦りに。

「・・・お前、すきな「頑張れよ!!応援してるから!!」

聞きたくない言葉の代わりに言いたくなかった言葉を叫ぶ。

複雑そうに眉根を寄せた皐月と唇を噛んだ俺は無言で進む。








家に着いて、皐月は灯を呼び出した。

玄関を出てきた灯と入れ違いで家に入る。

扉が閉まる前に振り返ると見えたのは

灯の赤い頬とこっちを見てバカ、と呟く皐月。







これでいいんだよ。

これがいいんだよ。



.
< 6 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop