【短編集】涙の流れるその原因に
隣を歩く皐月から、
「なぁ、俺灯に告るけどいいのか?」
いつもの帰り道でいきなりの発言。
覚悟はしてたけど、聞くとは思わない言葉があった。
「なんで俺に確認すんだよ?いいに決まってんだろ」
笑いながら言うけど、気付きはしないだろうか?
この焦りに。
「・・・お前、すきな「頑張れよ!!応援してるから!!」
聞きたくない言葉の代わりに言いたくなかった言葉を叫ぶ。
複雑そうに眉根を寄せた皐月と唇を噛んだ俺は無言で進む。
家に着いて、皐月は灯を呼び出した。
玄関を出てきた灯と入れ違いで家に入る。
扉が閉まる前に振り返ると見えたのは
灯の赤い頬とこっちを見てバカ、と呟く皐月。
これでいいんだよ。
これがいいんだよ。
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