ベイビー ラヴ
早くも夏休みの計画を立てていると、すぐに家が見えてきた。

家に帰り着くと、玄関に小さな花柄の靴があった。
だれのだろ?

リビングのソファーに小さな女の子が座っていた。


「ただいま」



「あっ、お母さん、一成」
姉の有紀(ゆき)は、思ったことをズバズバ言う。女王肌のキャリアウーマン。

「おかえり」
母の智子(ともこ)はおっとりした性格の専業主婦。

「おかえりなさい」
小さな女の子は呟いた。

「あっああ、ただいま」

何事かわからない俺は少し焦りながら、笑かけた。

「比奈(ひな)ちゃんよ」

「比奈?」

「そう、一成の従兄になるのかな」


「へ〜、従兄ねぇ。俺、一成、よろしくな」


「…佐藤比奈です。小学1年生です。」


明るい活発な声だった。
< 4 / 53 >

この作品をシェア

pagetop