遠い宇宙の果てで

「賢いお嬢さんだね。地球がこの惑星よりも壊れやすくなってしまっていて、そのせいなんだ。」
「でも、この惑星を変えて、お母さんやお父さんがいなくなってしまったら嫌。」
「それは大丈夫さ。生物の衰弱とともに星が寿命で無くなり、地球の命が浄化されれば、それと同時に人間の命も浄化されるだけさ。このままいけば、地球は地獄のような世界になってしまうんだよ。」
「私そんなの嫌。」
「それじゃあ、彼らに救いの手を差し伸べておくれ。」
「彼ら？」
「着けば分かるよ。」

しばらく愛美はだまっており
「どうしてあなたはそんなに知っているの？」
と鷲に問いかけた。
「私は聖霊の化身だ。この惑星には時々私みたいなのがいる。」
「魔法が使えるの？」
「まぁ、そういうことだ。」


愛美とピノが鷲に連れられてたどり着いたところは、杉のたくさん生い茂る山々を超えたところにある澄み切った湖に取り囲まれた白いお城だった。鷲は大きな翼を折りたたみ愛美にゆっくりと話始めた。
「君が腕首にはめたブレスレットは君の首に移動している。」
愛美は思わず、自分の首に手をやった。鷲の言ったとおり石と銀の感触があった。
「これは君が逃れられない使命を負った証しだ。」
「そんなぁ・・・。」
「使命をきちんと果たせばその首輪はとれるし君のいた地球にも帰れる。さぁあのお城の王女さまにかけ合うのだ。」
そう言い残し鷲は空へと飛び去ってしまった。
「ちょっと不条理すぎるよ。」
愛美はそうピノに話しかけた。ピノは耳を愛美の方に傾け、お城の方を見つめていた。
愛美は恐る恐るお城の門を開けてピノと一緒にお城の庭の中に入っていた。白い大理石でできた、天使の彫刻で飾りのほどこされた丸い噴水を中心に様々な花木で美しく彩られた庭であった。愛美が歩を進めてお城の大きな正面の扉の前まで歩き、その扉をノックすると、しばらくして鈴を鳴らしながら執事の人らしくほっそりとした白髪の目のたれたおじいさんが出てきた。
「どなたですか？」