遠い宇宙の果てで
王女は髪を肩まで伸ばしており、大きく意志の強さのこもった目をし、鼻筋は通っていて口の形も奇麗であり、とても整った顔立ちをしていた。王女はベッドを指さし、
「そこに座りなさい。」
と言った。石でできたベッドであり、純白のふとんはふかふかしていた。愛美はそのベッドに座り、ピノはその足元に座りこむと、王女は扉を閉めて、机の椅子を愛美の方に向けて座った。すると執事がお茶を持って再びその中に入り、王女と愛美の間の丸い小さなテーブルにそれを置き、
「ごゆっくり。」
と小声で言ってからその場をすぐに去って行った。

「それを飲みなさい。心が休まるから。」
王女はお茶を指さして言った。愛美はそれを飲むと緊張がだんだんとほぐれていった。味は地球上のものと同じだった。
「よくぞここまでいらしてくれたわ。私はフィレネといいます。」
王女は目をきらきらと輝かせて愛美に微笑んで言った。
「フィレネ王女さま、ここ、侵略されないんですか?」
愛美は一番気になっていたことを王女に問いかけた。
「古い魔法でバリアを張ってあるから大丈夫よ。とても強力な魔法なの。でも、こうやって姿を隠している間にも、この星の命は終わりに近づいている。」
「星の命のことは鷲さんから聞きましたが、バリアとは?」
「そういえば、あなたは地球の人でしたね。私がこの城の人間以外に見つからないようにバリアの魔法をかけているのだけど、そのバリアのせいで、この星の真の姿が見えないのでしょう。この星は、本当はもうすぐ滅ぼうとしています。どこもかしかも砂漠だらけなのです。」
ピノがすくっと顔を上げた。
「王女さまは誰かに命を狙われているの?」
「私の国を侵略したこの星の人間たちにです。その人間たちが侵略戦争に明け暮れているから、この星はもうすぐ滅ぼうとしているのです。そこで、あなたの力が必要になったのです。」
「それは、どうしてなんですか?」
愛美は身を乗り出して聞いた。
「私の国を侵略した人間たちが恐ろしいことこの上ない兵力を持っているのです。彼らは聖霊の化身を操っています。」
「あぁ、私をここに運んでくれていた鷲さんみたいな。」
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