Dear....
『今日一緒に帰りたいんやけど・・・ええ?』





『ええよ。』






放課後真由にいきなり言われた。





でも、返事は普通にした。






べつに、真由のことは嫌いじゃなかった。




むしろ、好きだったのかも。


本当は、いきなり言われたとき、少し舞い上がった。





『私な・・・たっちゃんのことが好きやねん。



いきなり言われてもようわからんと思うけど、



私はな、好きやねん。たっちゃんが。





卒業してもずっと・・・・好きやねん・・・。』





涙ぐんだ真由の瞳。




まだ冬の寒さが残る3月。



真由の手は寒さでかじかんでいて、小刻みに震えていた。






俺はあのとき、なんで素直にならなかったんだろう。




少し、後悔している。




『ごめんな。ようわからんわ。やっぱ。


それにな、俺にどうしてほしいん?


俺、なんもできんし・・・。


ごめんな。俺なんてやめて、違う男にしたほうがええよ。』



俺は、その場を去った。


なんでかはよく覚えていないけど、たぶん、恥ずかしかったんだろう。




まるで、小学生みたいに、顔を赤くして。


『あやまらんといてや・・・』



去る寸前、真由が言った。





今も覚えてるその声。



俺の・・・・初恋。







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