こいのはなし。
美しくないうめき声を上げて、ぼくの胸ぐらを掴んだヤツの後ろにいたヤツ。
その、倒れたヤツの後ろにたっていたのは一人の華奢な女の子。
正拳突きの格好で、女の子はヤンキー崩れ達を睨み付けていた。
「ぁンだテメェ!!」
「グズに名乗る名前は無いね」
「なんだとっ!!ナメてんのかコラァ!!」
激昂したヤンキー崩れが雪崩て少女に殴りかかる。
ヤバい!! と思ってしばらく目を瞑っていたら……。
ドサドサと倒されていく音。
パンパン、と手を叩く音が聞こえた。
恐る恐る目を開けた。
「おい、逃げるぞ!!」
ぼくを呼んだのは、ヤンキー崩れではなく、小柄な女の子の方。
声に導かれるまま、ぼくは走り出した。