こいのはなし。
レースやビーズによって飾られた雑貨を眺めていると、


「上の方の、届かなかったら声かけてくださいね」



店員の女性は、カウンターからそう声を掛けてきた。


こちらへ近寄って来ないのは、店の広さか、僕への配慮か。



どちらにしても、ガツガツ営業仕掛けてくるタイプの店員じゃなくて本当に良かった。



こんなファンシーグッズを前に、親友の…しかも男の誕生日プレゼントを選んでいるところにガツガツ来られたら、帰る勢いだ。



「…んん」




悩みに悩んで、思わず唸る。



そうしてしばらく小さく唸りつつ、僕はしばらく棚を眺めた。




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