妖精なアイツ【完全版】
…え?今、夏男…『いらない』って、言った?


呆然とそこに立つ桃子に近寄る。


「桃子…?」


桃子は振り返らなかった。


心配して、桃子の顔を覗きこむと、涙を流していた。
桃子は涙を拭って、何も言わずに、外に走って行った。


私も追いかけようと、靴を履き変えて、走るが、桃子の姿は無かった。


「ミッキー、おまたせっ!」


そこに妖精がやってきた。


…本当に、馬車に乗って。


「帰ろうか?」


「う、うん…。」


桃子には、後で電話しよう。


「ヒカル、これ…。」


「お、チョコかい?ありがとう!」


妖精は喜んでくれたけど…私は桃子と夏男の事が、どうしても気になった。


やっぱり、追いかけるべきなのだろうか…。
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