妖精なアイツ【完全版】
「でも…『いらねーよ』って…言われちゃった。」


いつも元気な桃子が泣きそうな顔をして、ため息をつくように話す。


「チョコ、嫌いだったっけ?夏男。」


「いや、どっちかというと好きな方なんじゃないかな。」


腕を組んで悩む。


考えても、夏男にしか真実を知らないんだろうけど。


「…ぷっ」


桃子は膨らました頬を潰して笑う。


「ど、そうしたの?」


「二人共、面白い顔。」


「え?」


桃子はニコッと笑って、私と妖精の肩を掴んだ。


「心配かけちゃったみたいだから、報告しただけだよ。そんな悩まないで。」


「でも…」


「私なら大丈夫だよ!」


桃子は、いつもの笑顔だった。
…でもやっぱり、どこか寂しそう。


…大丈夫、なのかな。
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