妖精なアイツ【完全版】
桃子は、ずっと無言で、私の手を引く。


桃子の耳が赤い。


やっぱり、恥ずかしいんだろうか。
いつもは皆をからかっているのに、なんだか可愛い。


近くの公園に着くと、立ち止まって、口を開いた。


「どうしよう…、言っちゃった…。」


桃子は、恥ずかしいのか、涙目になっている。


「なんで?いいやん、両思いやん。」


「駄目!恥ずかしいっ!!」


は、恥ずかしい?


「嬉しいけど…恥ずかしい。友達の関係のままで良かったのに…。」


なるほど。友達のままの関係を、壊したくなかってんな。


…私も、そーやもん。


「そんな、イキナリ恋人同士っぽくせんでも、友達のままから始めたらいいやん?」


「そーだけど…。やっぱ恥ずかしい。」


「いつも皆をからかったりしんのに、自分の時は臆病やねんな。」


桃子はバツの悪そうな顔をして、その場で三角座りをして、顔を埋めた。


ちょっと意地悪だったかな。


「私は、嬉しいよ?二人共…仲直りできて。」


「…うん、ありがとう。」


「これからも仲良くしてね?」


「…うん。」


桃子は頷く。


これで、元通りになるといいな。


…妖精も、喜ぶよね。
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