妖精なアイツ【完全版】
「今日はクラスのやつらと遊んで帰るから、遅くなるっておかんに言っといて。」


「ええけど…、ボタン無いで?」


兄貴のボタンは、もぎとられたように、全部無くなっている。


隣にいる染五郎さんも。


「俺らはモテモテやからな!」


兄貴はふんぞりかえって言う。それも自信満々に。


「美希ちゃん、屋上行ってみてね。」


そう言って、二人は去っていった。
二人がいなくなると、階段を登り、屋上のドアを開ける。


「…いた。」


そこには、妖精が居た。フェンスにもたれかかって、ボーッと外を見ている妖精の姿。


「…何してんの。」


「ミッキー。」


妖精は振り返って、私を見た。
口を聞くのは、何日振りだろうか。
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