妖精なアイツ【完全版】
どくどくと、胸の奥で音がする。


ギュッと目をつむって、ドキドキが収まるのを待った。
その瞬間、少し甘い香りがした。


…妖精の、匂いだ。


「ミッキー、あのさ。」


妖精と私は、凄く近い距離にいた。


妖精と目が合うと、またドキドキが止まらないけど、だんだん、それも心地よくなってきた。


「僕…桜井先生の事がふっきれたの、ミッキーのおかげだって、思ってる。」


「う、うん…。さっき聞いた。」


「意味、分かってる?」


「え?」


その瞬間、視界が真っ暗になった。


妖精が近付くから、反射的に目を閉じてしまっていた。
そして、しばらくして、唇に、柔らかい感触がした。
< 146 / 152 >

この作品をシェア

pagetop