妖精なアイツ【完全版】
「ん?見ない顔だね?」


やばい!!目が合った!!!!


私は高速で視線を逸らし、その拍子に首を捻った。
私が首の痛みに悶えていると、桃子ちゃんが彼に話した。


「転校生の桜井美希ちゃんだよ!ヒカル様も仲良くしてね!」


……様?
てゆうか、仲良くしたくない…


私は失礼な事を考えていた。


「転入生かい!どこからきたんだい?」


彼は王座の様なイスに座り、足を組んだ。


「はあ、大阪からです…」


同い年な筈なのに、敬語を使ってしまうこの空気は何なのか。


「そうかい!では『なんでやねん』とか言うんだろ?」


「…はあ、言いますね。」


私は適当に返事をした。


「ねえ!!」


彼の顔を見て喋らない私を大声で呼び、私は仕方無く彼の方を見た。




「ねえ、僕って妖精みたいだろ?」



…………………ハ?
……何やコイツいきなり………………


それよりも彼は、どういう経緯で自分を妖精だと思ったのだろうか。
ただひとつ分かる事は、『ヤツは頭がおかしい』という事だ。


「美希ちゃん、この人は、岩松光太(いわまつ こうた)くん。ニックネームは“ヒカル”なの。皆で仲良くしよーね!」


桃子が笑顔で言う。


この…変人と…仲よく…だなんて……!!絶対に嫌だ!!


悶絶している私を見て、変人は笑う。
これが、妖精、岩松光太と私の出逢いだった…。
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