妖精なアイツ【完全版】
「なーなー!この白馬ってもしかして王子の?」


兄貴は妖精の事を『王子』と呼ぶ事にしたらしい。


「そうなんですよ。ケインっていうんです」


「なら、『小杉』って呼ばなな!!」


…やばい。兄貴と発想が一緒や。


「美希ちゃん」


染五郎さんは私の肩を叩いた。


「光太…最近、大丈夫かな?変じゃない?」


え…。
いつも変ですけど?


…なんて言えない……


「え、いつも通りじゃないですか?」


「そっか…」


………?
何かあるんかな?


「何か、あるんですか?」


私がそう言うと染五郎さんは少し笑った。


「ううん。何でも…美希ちゃん。光太と仲良くしてやってね」


「は…はい?」


染五郎さんは、結局何が言いたかったんだろう?
それを聞けぬまま、私達はコンビニを後にした。
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