妖精なアイツ【完全版】
「美希?どうしたの?」


隣を見ると、のり姉が座っていた。
のり姉はウチのクラスの引率をする事になったらしい。


…ゴリと一緒に。


「怖い夢でも見たん?」


私は乱れた髪を手で直し、のり姉の方に体を向けた。


「ううん。ちゃうよ。…大丈夫」


「そう?何かうなされてたから…大丈夫なら、良かった。」


のり姉はそう言って微笑んだ。


…やっぱのり姉は可愛い……。
ってそんな事考えるなんて、私はおっさんかなあ。


そういえば、今の夢…。私は妖精の方を見た。


「カラオケの機械があるのかい?じゃあ僕のオンステージだね!!」


「お前、マイク独占すんじゃねえぞっ!!」


…また、妖精とゴリは言い合ってる…。


「もしや、ゴリーチャーも歌うのかい?はははっ!誰もゴリーチャーの歌声なんか聞きたくないよ!」



狭いバス車内で、妖精とゴリは追いかけっこしている。


「岩松くんてやっぱ面白いなあ」


隣でのり姉はクスクスと笑っている。
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