妖精なアイツ【完全版】
「うわあ~!可愛い!!」


アザラシを見てはしゃぐのり姉。この姿を見て、


『お前の方が可愛いよ』


と思ったヤツ等は結構いる。


「ねえ。のり姉は彼氏いるの?」


なんとなく気になったので聞いてみた。


するとのり姉は笑顔で、


「いるよ!」


と答えた。
そりゃあいるだろうとは思ってたけど。



「どんな人なん?」



のり姉の顔を覗き込み、顔を緩ませて言った。


「美希に前メールで画像送ったよね?その人!」


のり姉はアザラシを見るのを止め、こちらに体を向けた。


「メール…?」


そういえば、東京に来る時にのり姉とメールしてて、男と写ってる画像があったような…?


でもあれって、高校生だったから、彼氏じゃないと思ってたけど…もしかしてその人かな?


私はその日のメールを開いてみた。


「あ、そうそう!その人!でも内緒にしといてね。生徒と付き合ってるなんて学校にバレたらヤバイからさ」


私の開いたメールを見て、のり姉が私に耳打ちする。


「う…うん。」


「じゃあ、次は何見に行く?イルカとかがいいかな。」


のり姉はまたはしゃいで、私の手を引っ張っていく。
でも私は、うわの空だった。
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