妖精なアイツ【完全版】
なんで…のり姉の彼氏が染五郎さんなんだろう。
さっきの画像には、染五郎さんが写っていた。
『あ、あの、どこかでお会いしませんでした?』
『いや…今日が初めてだけど?』
ああ…そっか。
このメールで染五郎さんを見たから、どこかで会った様な気がしたんだ。
のり姉と…染五郎さんが…
私は、その事だけしか頭になかった。
イルカショーの会場に着き、私とのり姉は席を取る事にした。
「美希、知ってる?ここのイルカ、『恋イルカ』って言うんだよ」
「『恋イルカ』…?」
なんだそれ?
「二匹のイルカがプールからジャンプして出てきて、二匹がキスするの。その時のイルカのポーズが二匹合わせてハートマークで、それを一緒に見た男女は結ばれる…そんなジンクスがあるんだ」
へえ…と相槌をして頷いた。
そんな事を聞いても、染五郎さんと見れる訳でも無いし、
のり姉の彼氏だし…
「ジュース買ってくる」
私は席を立って、近くの自動販売機へと向かった。