妖精なアイツ【完全版】
「ミッキーはそう言うと思ってたよ。でも、兄貴の彼女が想い人だから、叶わないって分かってるのに…未だに諦められない僕は、しつこいんだよ。」


いつもなら、まっすぐ前を見ている妖精も、今日は下ばかりを見ている。


「自分で想ってるだけならまだしも、人に知られちゃうと、ちょっとね。」


「ご…ごめん。」


「ミッキーは悪くないよ。悪いのは僕だから、こっちこそ…ごめんね。」


妖精はそう言って先を歩いた。
いつもの妖精じゃなくて、調子が狂うというのもあるけど、なんだか、胸の奥がザワザワした感じ。


「ヒカルくーん!ミッキー!」


ナオがこちらに向かってやってくる。


「ナオ。どうしたの?」


「実はねー…二人が主役に選ばれました!」


主役?主役って…


「文化祭の出し物の演劇!ほら、本当はたこやき屋さんの予定だったんだけど、演劇するクラスが少なくって、クジでハズレ出しちゃったんだー。」


な、なるほど。


「ところで、その演劇って…」


「これ、台本!さっき皆にこの内容話したら、二人がいいってさ!」


台本を受け取り、ペラペラと、ページを捲っていく。



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