妖精なアイツ【完全版】
「岩松ー!ウェンディにヤキモチやく所、もっとリアルにできねえのか?」
ゴリは台本を丸めて僕を叩く。
「ヤキモチ…?」
焼き餅?
餅を焼くシーンなんかあったかな?
と、ベタな事を思って首を傾げた。
「お前、好きな子と他の男が話してたりイチャついてたらヤキモチやくだろお?思い出してやってみろ!!」
―――僕はまだ、 “ヤキモチ”をやいた事がなかった。
それ以前に、好きな子なんていないし―――…
その日は表現の仕方がよく分からなかった。
ゴリに野次を飛ばされ、ウンザリして保健室に向かった。
「ほんまに?ふふふ…それええやん。え、じゃあこれは?」
保健室のドアに手をかけ、少し開くと桜井先生の楽しそうな声がした。
「桜井先生?」
僕が呼ぶと、話声がピタリと止んだ。
「あ…っ光太くん。いらっしゃい!」
桜井先生は笑顔で迎えてくれた。
話相手は…兄貴…だった。
「光太くんて、生徒会長の岩松染五郎くんの弟なんやねえ。さっき聞いてびっくりしたわ。」
そして二人は顔を合わせてふふふと笑う。
なぜか、その光景がとても腹ただしく思えた。
これが… “ヤキモチ”か―――…
僕はそう感じた。
桜井先生と他の男が仲良く喋っているだけで、こんなに心をかき乱されるなんて―――…
その瞬間、涙が出そうになった。
桜井先生の事が好きだって、気付いたから…。
ゴリは台本を丸めて僕を叩く。
「ヤキモチ…?」
焼き餅?
餅を焼くシーンなんかあったかな?
と、ベタな事を思って首を傾げた。
「お前、好きな子と他の男が話してたりイチャついてたらヤキモチやくだろお?思い出してやってみろ!!」
―――僕はまだ、 “ヤキモチ”をやいた事がなかった。
それ以前に、好きな子なんていないし―――…
その日は表現の仕方がよく分からなかった。
ゴリに野次を飛ばされ、ウンザリして保健室に向かった。
「ほんまに?ふふふ…それええやん。え、じゃあこれは?」
保健室のドアに手をかけ、少し開くと桜井先生の楽しそうな声がした。
「桜井先生?」
僕が呼ぶと、話声がピタリと止んだ。
「あ…っ光太くん。いらっしゃい!」
桜井先生は笑顔で迎えてくれた。
話相手は…兄貴…だった。
「光太くんて、生徒会長の岩松染五郎くんの弟なんやねえ。さっき聞いてびっくりしたわ。」
そして二人は顔を合わせてふふふと笑う。
なぜか、その光景がとても腹ただしく思えた。
これが… “ヤキモチ”か―――…
僕はそう感じた。
桜井先生と他の男が仲良く喋っているだけで、こんなに心をかき乱されるなんて―――…
その瞬間、涙が出そうになった。
桜井先生の事が好きだって、気付いたから…。