妖精なアイツ【完全版】
しばらくすると幕が上がり、演劇が始まった。


ピーターパンがティンカーベルに、妖精の粉をウェンディ達にかけるシーン…


もし…ピーターパンが桜井先生でウェンディが僕以外の男で―…
二人が一緒にいるキッカケをティンカーベルが作るんだとしたら…


それはとても…辛い事だよね…。


もしいつか、そんな状態になったとしたら僕は素直にできるだろうか…。


舞台は終わり、客席を見た。
もちろん、桜井先生を―…


先生はとても楽しそうに拍手をしていた。


「良かった…」


ボソリとそう呟いた。


その拍手のためにその笑顔のために桜井先生に喜んでもらうために―…僕は頑張った。


こんなに、誰かのために頑張ろうなんて思った事なんて無かった。


僕は桜井先生が好きだ。
この気持ちを伝えたら…先生はどんな顔をするだろうか?


僕は衣装を着たまま保健室へと駆け込んだ。



この気持ちを…桜井先生に―…
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