妖精なアイツ【完全版】
「クリスマスかぁ…」


去年は、家族と、長谷川のとこの家族と過ごしたんだっけ。


去年…というより、毎年恒例やったな。今年はどうするんやろう?


「おとんとおかん、クリスマス、二人で食事に行くらしいで。」


家に帰ると、兄貴が玄関で私を出迎えてそう言った。


今年はおとんとおかん、結婚20周年らしいので、そのお祝いもかねてだそうだ。


「俺は彼女と過ごすから、お前も誰かと過ごせ、なっ!…あ、相手おらんか。」


兄貴は私の肩をポンポンと叩き、哀れんだ目で見る。


「はあ?彼女?きもいんじゃ!!」


私は鞄を兄貴に投げつけた。


「いったー!お前、ちゃんと教科書持って帰ってんのか!偉いな!でもそのせいで痛いわ!!」


「きっと彼女もきもいんやろ?」


「あほか!学校イチの美女10人じゃ!!」


…10人。
あほか、コイツ。


しかもそれ、学校イチじゃなくなるやん。


「美希ちゃんは今年ひとりでちゅか〜。寂しいでちゅねぇ。」


兄貴が私の頭を撫でる。


…別に、寂しくないやい!!
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