妖精なアイツ【完全版】
私と妖精は染五郎さんの近くに腰掛けた。


染五郎さんは私達の方を向いた。


「…二人の言いたい事、なんとなく分かるよ。」


染五郎さんは、しばらく口を開かなかった私達に気を使って、先に話し出した。


「規香の事だろ?光太。」


妖精は頷いて、真っ直ぐ染五郎さんを見た。


「僕が首を突っ込んでいい事じゃないかもしれないけど…桜井先生と、何かあったのかい?」


染五郎さんは、下唇を強く噛んで、重たい口を開いた。



「俺…なんとなく気付いてたんだ」


染五郎さんがそう言うと妖精は「なにを?」と聞いた。


染五郎さんは躊躇いがちに、一度俯いたが、しばらくして顔を上げた。
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