妖精なアイツ【完全版】
妖精は落ち込んだ様子で、染五郎さんを見ている。


かける言葉がみつからなくて、もどかしく思ってるのかもしれない。


「それで…のり姉は何て言ったんですか?」


私がここで聞くべきじゃないんだろうけど、出しゃばった。


妖精もそれが気になってるだろうし…私が勝手に思ってるだけかもしれないけど。


「何も言わなかった。ただ俯いて、頷くだけ…アイツは光太の気持ち知らないから、理由は話さなかったし、不安なんだろうな。」


そう、染五郎さんが言うと、しばらく口を閉ざしていた妖精が、口を開いた。


「分かった…僕が何とかしてくるよ。ごめんね。ブラザー…」


そう言って妖精は、微笑んだ。
『何とかする』って…どうするつもりなんだろう…。
< 97 / 152 >

この作品をシェア

pagetop