彼女に捧げる新世界
母の想いと魔王の采配
「そう………激動の人生だね」
彼らの過去と秘密を聞いたニルの反応は冷ややかだった。
励ますことも、責めることもなく、まさに別次元からの見解にさすがのミラもニルの感性を疑う。
「もっと言葉を選んであげてよ………」
同情しなくてもいい、けれど彼らの複雑さを少しくらいは何か労ってやれないのか………?
見つめたニルは変わらず優しくミラを撫でるが、感情のこもらない表情で言った。
「俺が関与すべきことではないよ?
この世界はこの世界のもの。
苦労も人を成長させる栄養だから」
進化はそこから生まれるものだろう……?
善悪を付ける必要もなく、力を加えてやることでもない。
ニルは感情移入せず、事実だけを言ってしまう。