彼女に捧げる新世界
「言うじゃないか………。
まだわからない?
魔王はそれだけの力を有している。
機嫌で世界の命運が決まると言ってもいい」
ニルが不遜な笑みを浮かべる……。
内心どうしようかと慌てた。
激しく怒るよりも、静かに笑う方がずっと危ない。
緩くはためいていた翼の音も消える……。
「おいで、
きっと死のほうが楽だよ」
愛を囁くような甘い声に背筋が寒くなった。
手を差し出されたエルファリアも目を見開いて硬直している………。
止めたいのに身体が動かない、
まるで自分が言われたかのように恐怖を感じた。
ニルはクツクツと笑う、
「……………死を恐れるのは生きていた者の証。
今のは戯れだよ?
ミラが望まないしね」