彼女に捧げる新世界
ミラはゆっくりと瞬き、険しい表情の男を見つめた。
青い瞳は澄んだ色で、空より濃くも晴れやかな色。
よく晴れた日の湖面や、海のような青。
顔や髪、背格好が似ていても彼のような光る金緑の瞳じゃない。
翼もない。
魔力も纏わない……。
違う人。
「俺は“雷皇”と冠する魔王の存在を探している。
お前が知り合いなら、ここに呼び出せるか?」
「無理だよ」
「何故?」
「…………」
「命が惜しくないと?」
銃がカチリと音を立てる。
しかしミラはまっすぐに彼を見つめた。
恐怖はない、
ニルのいない世界は………わたしにとって輝きを失っているから。
「惜しくないわ………ニルはもう……どこにもいないもの。
あなたの望みは叶えられない」
どんなに泣いても帰ってこないから……………。