彼女に捧げる新世界




ミラはゆっくりと瞬き、険しい表情の男を見つめた。

青い瞳は澄んだ色で、空より濃くも晴れやかな色。

よく晴れた日の湖面や、海のような青。

顔や髪、背格好が似ていても彼のような光る金緑の瞳じゃない。


翼もない。


魔力も纏わない……。



違う人。



「俺は“雷皇”と冠する魔王の存在を探している。

お前が知り合いなら、ここに呼び出せるか?」


「無理だよ」

「何故?」


「…………」


「命が惜しくないと?」



銃がカチリと音を立てる。

しかしミラはまっすぐに彼を見つめた。


恐怖はない、



ニルのいない世界は………わたしにとって輝きを失っているから。




「惜しくないわ………ニルはもう……どこにもいないもの。

あなたの望みは叶えられない」




どんなに泣いても帰ってこないから……………。




< 11 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop