彼女に捧げる新世界
不安げな表情はさせたくない………。


けれど、なにか……。



満たされる、



「まだ魔王として機能してるから大丈夫…………。
話が終わったらおいで」



ミラが頷くのを待ち、確認した後にこの場を離れた。


雷鳴が遠くに響き、厚い雲が空を覆う。




ニルは音もなく消えた…………。



「魔王はミラを見つめるときだけ違う顔なんだね………」


エルファリアは淋しげに呟く、

「ニルはわたしの世界の全てだから……、

わたしを誰より愛してくれるの」


優しい手も、美しい翼も、言葉にできない形も…………全てがわたしのものだと思っている。



夢よりもずっと夢、想像も出来ないような存在。


神にも等しい彼岸の者……。




「うらやましいな………」


< 110 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop