彼女に捧げる新世界
「恋に生きればよかった……?
仕事も生活も放って!?」
彼女の驚く意味がミラにはよくわからない。
何を驚くのだろうか?
ニルと自分は二人の時間を大切に、ほとんどを一緒に過ごした。
用事のある日を除いてだが………、
そこで、フッと思い出す。
ニルは無職だということを…………。
ミラは少しだけ申し訳なく思った。
「立場が違うよね………ごめんなさい」
「いいの…、ミラの相手はその………“特殊”でしょ………」
魔王なんて存在は実際見ても理解を越えた存在だ。
あの存在を思い出すと、生身ではないのに寒気がする………。
何対もある翼、石膏のような肌に宝石よりも目を惹く金緑の瞳。
整い過ぎて異質な美貌もそう。
特殊としか言いようがない。