彼女に捧げる新世界
“どうしたの?”
頭の中に声が聞こえた。
ミラはそのまま意識を集中し、話しかける。
“彼らの願いをきいて?”
“…………”
“たくさん人を殺してきたかもしれない。
でも、それは求めたもののためだった………、
二人は想っていると思うの”
“ミラは何故それを望むの?
本当に想うなら形なんてどうだっていいと思うけど”
姿なんて視界に映る幻だとでも思えばいい。
ニルはミラの言いたいことをいまいち理解してくれない………。
“姿形じゃないよ、温度とか触感………。
触れられる幸せもある。
もしもわたしたちが同じだったら、ニルはどうするの?”
魔王じゃない、普通の人間だったなら………。
どれたけの力を望み、不甲斐なさを感じる?
どれたけ嘆く……?
“もしも人間だったなら?
俺はミラに出会っていないよ、存在した世界が違うから。
生きることは必ず幸せとは限らない。
欲望とは尽きないものだ”