彼女に捧げる新世界



きっとわかっている。


誰よりそれを……。

欲望でくくってしまうのではなくて、願いと言い換えたら?


感情があるから欲望があるのは自然で、それがなければただの人形だと思う。




生きているからこそ見えるものもある、わたしはそう思うのだ。




“わたしは生きていて幸せだよ?

ニルの肌も温度も、匂いも………いろんなものを感じられるから。

それはとても幸福でしょう?”



“……………そうだね”



ニルは渋々だがミラの言い分を認める。




“叶えてあげて………?

カイトはわたしの面倒をみてくれたの、いろいろあったけど………彼にお礼がしたいよ”




わたしは願いを叶える力がないから………。







ニルの沈黙はとても長かった。


いろいろ考えていてそうなったのかもしれないし、どこまでを叶えるかを考えたのかもしれない。


逆に叶えるつもりもないのかもしれない…………。
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